印鑑についてのよくある質問

  1. 印鑑共通の質問
    1. 印鑑を紛失しました。同じ印影で作れませんか?
    2. 今持っている印鑑を削って彫ってもらうことはできますか?
    3. 持ち込み印材で彫ってもらうことはできますか?
  2. 個人印についてのよくある質問
    1. 印鑑廃止されるとすべての印鑑が不要になりますか?
    2. 既製品と違う書体を作れますか?
  3. 個人実印についての質問
    1. 実印が必要になるとき
      1. 遺産相続手続き
      2. 普通自動車の売買
      3. 保険金・補償金の受領
    2. 実印・銀行印はどれぐらいのサイズのものが良いですか?
    3. どんな印鑑が実印登録できるの?
      1. 印鑑登録できない印鑑
        1. 認印などの工場で大量生産された既製品
        2. 同一世帯の人がすでに登録している印鑑
        3. 印面がゴムの印鑑(シャチハタ等のインキ浸透印を含む)
        4. 朱肉ではなく、インクを利用しているもの
        5. 住民票に記載されている「氏名」、または「姓」と「名」のいずれも表していないもの
        6. 外枠の無いもの、外枠の欠けているもの
        7. 印影が不鮮明なもの、文字が判読できないもの
        8. 印影が小さすぎるまたは大きすぎるもの(8 mm四方を下回る、または25 mm四方に収まらない)
        9. 白文形式で作ったもの
        10. ローマ字で作ったもの
    4. 実印の変更(改印)をしたあとに、過去に実印を使った契約等をやり直す必要がありますか?
      1. 実印はまだ必要ですか?
  4. 会社実印についての質問
    1. 会社実印をゴム印で作れますか?
    2. 会社実印はまだ必要ですか?
  5. 会社銀行印についての質問
    1. 会社銀行印を会社実印と兼用して大丈夫ですか?
      1. 兼用することのメリット
      2. 兼用することのリスクとデメリット
        1. 紛失時の手続きが手間がかかる
        2. 1本の印鑑で契約・お金のやり取りができてしまう
  6. 角印についての質問
    1. どういう時に角印が必要になりますか?
      1. 自社の書類であることに信頼性をもたせたい時
      2. 取引先が角印の押印を求めた時
    2. 角印を会社実印にすることはできますか?

印鑑共通の質問

印鑑を紛失しました。同じ印影で作れませんか?

犯罪に繋がる可能性がありますので、当店ではいかなる理由であってもお断りしております。(印章偽造の罪)

これらの印鑑紛失時には、再度印鑑を作り直して各種機関に改印手続き(印鑑変更手続き)をする必要があります。
改印手続きの詳細は印影を届け出ている機関にお問い合わせ下さい。

今持っている印鑑を削って彫ってもらうことはできますか?

可能です。

ただし、削り代が追加で発生するため、ほとんどの場合新しく作ったほうがお安くなります。
希少印材(象牙等)の場合のみ、彫り直したほうがお得です。

持ち込み印材で彫ってもらうことはできますか?

印材によりますが、可能です。

石材系の印材は彫刻中に割れるリスクが高いため、当店では持込での彫刻をお断りしております。

個人印についてのよくある質問

印鑑廃止されるとすべての印鑑が不要になりますか?

2021年2月現在のところ、不要になる可能性があるのは「認印」のみです。(銀行印・実印は対象外です)
特に政府組織の中では積極的に「認印」廃止に向かっており、既に一部書類提出の際には押印の必要がなくなってきています。

しかし、民間内(企業・組織内)では組織内のルールに依存するため、まだ必要になる可能性のほうが高いという状況です。

既製品と違う書体を作れますか?

可能です。完全機械彫りで7分ほどで作れます。

個人実印についての質問

実印が必要になるとき

実印が必要になるよくあるケースを列挙します。

  • 遺産相続手続き(遺産分割協議書)
  • 普通自動車の売買
  • ローン契約
  • マイホームの売買
  • 土地の売買(不動産取引)
  • 銀行から融資を受けるとき
  • 法人登記(会社設立時)
  • 公正証書の作成(遺書の作成等)
  • 保険金や補償金の受領

以下に一部補足します。

遺産相続手続き

遺産を相談して分割することになった時、遺産分割協議書というものに必ず全員が実印を押印する必要があります。
これは相続・破棄する場合のどちらの場合でも実印が必要になります。

普通自動車の売買

軽自動車の売買には必要ありませんが、普通自動車の売買のときのみ必要になることがあります。

これは車の名義変更のために必要になるですので、特に買う時はローンを組んだりして名義がローン会社や名義になる名義変更を行う必要が無ければ実印は必要になりません。売るときには車の所有者が自分である必要がありますのでもし所有者が別人のままになっているなら実印が必要になります。

保険金・補償金の受領

保険会社の規定により変わりますが、500万や1000万以上等、金額が高額になると受け取りに実印が必要になります。

実印・銀行印はどれぐらいのサイズのものが良いですか?

実印は一般的には、夫婦間で男性は女性のサイズよりも大きいものを持っていたほうが良いとされています。
(古くからの縁起上の話であり、男女でサイズが法律等で決まっているわけでは有りません。)

銀行印は一般的には、実印よりも小さく、認印よりも大きいものを選ぶ方が多いです。
銀行により規定はあるものの、通常は過剰に大きい・小さいものでない限り、銀行印として使用可能です。

主には以下の★マークのサイズがよく使われるサイズです。

どんな印鑑が実印登録できるの?

実際には「どんな印鑑が印鑑登録できるのか」というよりも「印鑑登録できない印鑑以外なら登録できる」という方がわかりやすいです。

以下に一般的に実印として印鑑登録できないものを列挙します。

印鑑登録できない印鑑

市区町村により細部が異なりますが、おおよそ共通して以下のものは登録できません。詳しくは住民票登録を行った役所のWebサイトを調べるなどして確認してください。

  • 認印などの工場で大量生産された既製品
  • 同一世帯の人がすでに登録している印鑑
  • 印面がゴムの印鑑(シャチハタ等のインキ浸透印を含む)
  • 朱肉ではなく、インクを利用しているもの
  • 住民票に記載されている「氏名」、または「姓」と「名」のいずれも表していないもの
  • 外枠の無いもの、外枠の欠けているもの
  • 印影が不鮮明なもの、文字が判読できないもの
  • 印影が小さすぎるまたは大きすぎるもの(8 mm四方を下回る、または25 mm四方に収まらない)
  • 白文で作ったもの
  • ローマ字で作ったもの

一部の内容を詳しく説明します。

認印などの工場で大量生産された既製品

自治体により可否が異なりますが基本的に既製品は印鑑登録できません。
詳しくはお住まいの役所へお問い合わせください。
例:福山市は既製の認印を印鑑登録可能ですが、笠岡市ではできません。

同一世帯の人がすでに登録している印鑑

つまり家族での実印共有等、1つの実印を複数人で共有するような使い方はできないということになります。
(できたとしても使用する時にトラブルになると考えられます)

印面がゴムの印鑑(シャチハタ等のインキ浸透印を含む)

ゴム印など変形しやすい材質もの(シャチハタを含む)印鑑は登録できません。
これはゴム印が劣化しやすく、印影が変わってしまうため長期保存に向いていないためです。

登録した時と押印した時に判別不能や歪みなどにより違う印影になっていると、同じ印鑑として扱われない為、変形しやすい材質は登録できません。

朱肉ではなく、インクを利用しているもの

インキ浸透印(シャチハタ等)は登録できません。
長期保存を目的とした書類の場合、シャチハタ等のゴム印に使用されるインクは年月が立つとかすれて薄くなっていく為です。

住民票に記載されている「氏名」、または「姓」と「名」のいずれも表していないもの

名前以外の文字(職業等)や絵柄等を入れたりすることはできません。また漢字の名前をひらがなにしたり、ひらがなの名前を漢字にしたりすることもできません。
旧字、常用漢字の違いは許容されますが、トラブルになることもあります。ご留意ください。

外枠の無いもの、外枠の欠けているもの

最初から外枠が無い印鑑や、外枠が欠けている印鑑は登録できません。

印影が不鮮明なもの、文字が判読できないもの

崩し文字等、意図的に読みにくくしたものは登録できません
窓口担当者の方によっては稀に草書体を拒否される場合があるようです。
※難読化された書体はある程度使える書体が決まっており、あくまでも漢字として判読可能なものである必要があります。

印影が小さすぎるまたは大きすぎるもの(8 mm四方を下回る、または25 mm四方に収まらない)

自治体によって実印登録可能なサイズは変わってきますので、ご注意ください。
しかし、通常は過剰に小さくしたい・大きくしたいという希望が特にない限り、気にする必要はありません。

これらの制限に加え、自治体によりその他の制限がある場合があります(認印の登録可否含め)。お住まいの地域の役所により他にも実印登録できない条件が異なることがありますので、詳しくは住民票のある役所へご確認ください。

白文形式で作ったもの

白文形式とは白抜き文字のことです。以下のようなものです。

白文形式サンプル
ローマ字で作ったもの

日本語の名前を持つ日本人の方の場合、住民票登録された文字と異なる為、登録できません。
※外国人の方は在留カードもしくは特別永住者証明書に記載されていればローマ字・カタカナ・漢字で実印登録できます。(いずれも記載されている文字に限ります)

実印の変更(改印)をしたあとに、過去に実印を使った契約等をやり直す必要がありますか?

いいえ、必要ありません。

実印は契約時・手続き等を行ったその時に効力が発揮されていることが重要なものであり、後から変更してもこれまでの契約や手続きには影響しません。
(これは個人印・法人印の両方で同様です)

なので、例えば普通自動車を買うために実印を登録して購入したあと、実印を廃印(実印登録の取り消し)を行っても問題ありませんし、変更することも問題有りません。

実印はまだ必要ですか?

今のところ必要です。

実際のところ、実印は法律上で必要と明記されていないものが多いのですが本人の意思確認という意味での有用性から、各施設や企業の方針で使われているというのが現状です。

例えば遺産分割協議書への実印の押印は、民法上では“実印が必要”とはなっていません。しかし、亡くなった方の財産を相続しようと銀行・法務局・税務局へ名義変更等の申請をしようとすると、遺産分割協議書と印鑑証明書の提出を要求されます。

また遺言(公証証書)では民法第969条第4号には実印が必要という記載はありませんが、公証役場では遺言者の本人確認のために印鑑証明書の提出を求められる為、結局実印が必要になるというわけです。

 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。

民法第969条第4号より引用

第二十八条 公証人証書ヲ作成スルニハ嘱託人ノ氏名ヲ知リ且之ト面識アルコトヲ要ス
○2 公証人嘱託人ノ氏名ヲ知ラス又ハ之ト面識ナキトキハ官公署ノ作成シタル印鑑証明書ノ提出其ノ他之ニ準スヘキ確実ナル方法ニ依リ其ノ人違ナキコトヲ証明セシムルコトヲ要ス

公証人法第28条第2項より引用

このようにして、法律上は明確に求められていないように見えても、大きな財産が動く契約では必ずと言っていいほど対象となる組織から本人の意思確認のために実印(印鑑証明書)を求められるようになっているというのが現状です。

会社実印についての質問

会社実印をゴム印で作れますか?

会社実印のような形(いわゆる回文、中文のある印影)でもゴム印を作ることができます。

ただし、正規の会社実印としての利用はできません(法人登記には使えません)

会社実印はまだ必要ですか?

2019年9月頃、法人登記時の印鑑登録の廃止に動き始めましたが、様々な問題が有り2020年8月現在のところ、法人登記の際にはまだ必要になっています。

(印鑑の提出)
第二十条 登記の申請書に押印すべき者は、あらかじめ、その印鑑を登記所に提出しなければならない。改印したときも、同様とする。

商業登記法第二十条第1項より引用

資料:法人設立手続オンライン・ワンストップ化検討会「法人設立における印鑑届出の義務の廃止」の実現に向けて

会社銀行印についての質問

会社銀行印を会社実印と兼用して大丈夫ですか?

法人印の場合でも、個人印同様、会社実印を会社銀行印と兼用することもできますが、可能な限り別個の印鑑として作成・管理することをおすすめします。

兼用することのメリット

会社実印を銀行印として使いわますことのメリットは、会社実印や銀行印の押印が必要な事務処理を「代表者自身」が行う時のみと言っていいでしょう。

  • (従業員が自分のみの場合)1本の印鑑ですべてが済むので管理が楽
  • 起業時の初期コストが少し減る

兼用することのリスクとデメリット

会社実印と銀行印を使い回すことのリスクとデメリットは大きいです。

紛失時の手続きが手間がかかる

紛失がわかった時点で各金融機関へ連絡して取引の一時停止(悪用を防ぐ為)と、法務局へ失効手続きを行い新しい印鑑を作ってもう一度改印届けを各所に出しに行く…考えただけでも非常に面倒です。

1本の印鑑で契約・お金のやり取りができてしまう

1本の印鑑で何でもできてしまうということは、悪用された時の被害が非常に大きくなる可能性があるということです。
例えば、信頼できる従業員に管理・押印を任せていた場合、もし内部の従業員が悪用した場合はさらに発覚が遅れる可能性があります。

角印についての質問

どういう時に角印が必要になりますか?

角印が必要になるのは大まかに2パターンです。

  • 自社の書類であることに信頼性をもたせたい時
  • 取引先が角印の押印を求めた時

自社の書類であることに信頼性をもたせたい時

角印の元々の目的は請求書・領収書・見積書・発注書・納品書等の書類に押すことで、何者かが勝手に作った(偽造)書類ではない=あなたの会社の意志に基づいて作られたと推定ができる=書類の信用度が上がる(相手先は安心感が得られる)という効果を狙って押されています。

よく領収書にも押されているのを見るかと思いますが、実は法律上は領収書にも印鑑を押す必要がありません。領収書としての必要事項が記載されていれば経理上も有効です。

押さなくても問題無いものではありますが、相手を思いやった文化と言えるかもしれません。

取引先が角印の押印を求めた時

取引先によっては使用する角印を登録する必要がある場合があります。
これは役所や法務局への届け出が必要というわけではなく、単純に取引先に「私の会社ではこの角印を使用しますね」と申請しているだけです。要するにうちわの決め事ですね。

角印を会社実印にすることはできますか?

角印を会社実印として登録することは一応可能です。
ただ、一般的には会社実印といえば丸印が多いため、取引先との書類に対して実印を押す時は予め角印が実印であることを断っておかないと、「角印ではないものを押してほしい」と言われる可能性があります。
(毎回これが実印です、という説明をすることになる可能性が高いです)